運動 勉強

運動と勉強をミックスさせよう

運動と勉強・・・この2つは、いっけん相反するもののように思われます。しかし脳科学的にみれば、両者とも深く関連しあっており、不可分の関係になっています。

精神身体医学という言葉もあるように、洞察力の高い人たちは、心と体は一体であり不可分の関係にあると見抜いています。精神的に過度のストレスがかかれば、それは体の不調として現れます。反対に体が健康であれば、精神的な健康も保たれます。「健全な精神は健全な肉体に宿る」とも言いますしね。

このように運動と勉強は深くかかわっており、それぞれが、もういっぽうを支援する働きをもっています。運動することによって、集中力や記憶力が増し、脳の回転がアップして、勉強がはかどるということです。

反対に、たとえばスポーツや格闘技、武道などの分野では、平常心やリラックス、イメージトレーニングといったことが重視されます。つまり精神的な部分が、勝敗を決する重要なファクターになるわけです。

もちろん脳科学的にみれば運動も、大脳皮質の前頭葉にある「運動野」から指令を出しますし、小脳で微妙なコントロールを行なっています。そして、もちろん勉強は脳の仕事です。運動も勉強も、両者とも脳が関係しています。

だからこそ、この2つは、互いに脳内神経伝達物質や内分泌系、自律神経系といったものを介して影響しあい、あるときは一方を高めたり、またあるときは足を引っ張ったりするわけです。

運動すると、どうして学習がはかどる?

運動すると勉強がはかどるという事実は、多くの人が経験しています。
1日中、机に張り付いて、ほとんど運動らしいことをしない人よりも、適度に運動を取り入れている人のほうが、脳の回転がよくなるし学習の質も高まります。

それは、ひとつには体のコリがほぐれて全身の血行がよくなることで、長時間集中できるからです。
勉強して疲れを感じるとき、それは実は脳が疲れているのではありません。脳は疲れ知らずの器官です。ですから脳が疲労しているのではなく、目や首筋、肩、腰、腕などが疲れているのです。

脳は痛みを感じない器官なので、そもそも疲れるということがありません。ただ「飽きる」ということはあるかもしれませんが・・・。運動を休憩時間などに行うことで、体の疲れを取ったり軽減したりできます。その結果、長時間、連続して勉強するスタミナがつくわけですね。

また勉強をつづけていると、脳は疲れなくても、やることの内容に飽きてきます。そこでリフレッシュする必要があるわけですが、エクササイズは気分転換にもなります。気分をリラックスさせてくれるのです。

休憩時間にテレビをボーッと観ることでも、前頭前野が休まるので、たしかにリラックスはできます。しかし同時に運動しながらテレビを観てはどうでしょうか?そうすることで、さらに脳はリフレッシュされるはずです。

運動は記憶力を高める

運動は勉強の合間に行えば、前述したように気分をリフレッシュできます。
ストレス解消になりますし、凝り固まった筋肉をほぐし、脳の血行をよくします。

脳の血行がよくなれば、頭がよく回るようになり、思考力や集中力、記憶力、判断力、読解力もアップするはずです。じっと机に向かっていると、全身の筋肉が硬直してくるので、血の巡りが悪くなり、それだけ脳に血液がいかなくなります。ということは脳に酸素とブドウ糖が、あまり行かなくなるということに・・。これでは脳がうまく働いてくれないのは明瞭ですよね?

運動には、このように脳の血行改善という面からも、効果的な学習方法の一部といえるわけです。
しかし、そのほかに、運動自体が海馬を活性化させるという面ももっています。海馬は脳の奥深くにあって、入力された情報の重要度を判断する「記憶の関門」。1か月くらいここに記憶がとどまり、重要な記憶は側頭葉へ移されて長期記憶となり、それほど重要ではない記憶は消去されるのです。

有酸素運動は軽く息の切れる、楽しくできる運動ですが、そこまで強度を上げなくても、ぶらぶら歩くだけでも海馬は活性化します。つまり体を動かすだけで、記憶の司令塔である海馬が刺激されるのです。
このとき海馬からシータ波が発生します。これは最大の記憶力を発揮できるという、スタンバイの状態。

ですから、外を歩きながら英単語を暗記したり、身振り手振りを加えて発音するなどの学習方法は、たいへん理にかなっているわけです。

外を歩くことが面倒という人は、部屋のなかをぐるぐる回りながら、教科書片手に勉強してみてはどうでしょうか。同様の効果が見込めます。このように運動しながら勉強してもいいですし、最初に述べたように休憩時間に運動してもいいと思います。

どちらも脳の海馬を活性化させ、シータ波を発生させるので、記憶力や集中力を高める効果が期待できます。

運動と学習にまつわる注意点は?

よく高校受験や大学受験などで、勉強に集中するために、部活動を休止する人がいます。
運動をしない分、勉強時間を増やし、全力をつくそうというわけです。

しかし、ここには危険が潜んでいます。
何度も強調しているように運動と勉強は不可分の関係にあり、お互いに影響しあっています。部活をしているときは、全身の血行もよく、脳の回転も速かったのが、部活をやめることで、だんだん鈍ってくることが考えられます。

ですから、たとえ部活をやめて受験勉強に専念するようになっても、自宅で休憩時間などに筋トレやストレッチ、室内ジョギングなどを継続することをオススメします。そうすることで、脳の海馬からシータ波が発生しやすくなりますし、志望校の高校や大学に合格したあとに、好きな部活にスムーズにつなげることができます。

受験勉強で筋力や柔軟性、スタミナが衰えてしまっては、第一志望校に入学したあとの部活で、また一から基礎体力をつける手間がかかります。もちろん家の中では、思ったようにテクニックの練習はできませんが、基礎体力は維持することができます。またテクニックにしても、軽くイメージトレーニングすることによって、脳内の回路が刺激をうけ、意外に維持できるものです。

 


そのほか運動と勉強の注意点として、喫茶店や図書館、進学塾や予備校の自習室では、思ったように運動が出来なくなるということがあります。自宅では筋トレやストレッチをしたり、部屋を歩き回りながら学習したり、身振り手振りを加えて発音できますが、外ではそのような行動はおのずと制限されます。

そのため外では、モチベーションを上げるために、短時間だけに限って利用するのが良いと思います。
また、できるだけトイレに席を立ったり、なんとなく館内を歩いてみたり、椅子に座ったまま腰をひねってストレッチをしてみたりすることも有効です。

以上のように勉強は、机の前にじっと静止しているだけではなく、運動してから学習したり、運動しながら暗記するというのが、能率的な学習方法のコツになります。