学習 モチベーション

学習のモチベーションを上げる大切さ

学習のモチベーションは入試対策はもちろん、日々の家庭学習において必須の要素です。仕事でも習い事でも、スポーツでも介護でも、人間の活動の源泉は、「意欲」や「やる気」にあるといえます。

モチベーションが高い状態で行動すれば、好循環に入っていきます。しかし、イヤイヤやっているとストレスがたまり、やがて行動できなくなるのではないでしょうか。

高校受験や大学受験、あるいは各種資格試験を目指す場合においては、どのように勉強するかという「学習方法」も大事です。しかし、それ以上に大切なことは、学習のモチベーションをいかにして上げ、そして、それを維持していくかです。

やる気をもって楽しく勉強に取り組むことこそ、どんな勉強法よりも優れた学習方法です。
勉強が楽しいと感じれば、記憶を司る海馬から「シータ波」が出てきます。シータ波は記憶力が倍増しているという信号。ですから意欲的に学習に取り組めさえすれば、どんどん覚えていけるのです。

モチベーションを高めることは、車でいえばガソリンを満タンにすることです。
ガソリンがなければ、エンジンもかかりませんし、当然、アクセルを踏んでも前進しません。ガソリンがあってこそ、前進できる(行動を起こせる)わけです。ガソリンが枯渇しないように、つねに補給できれば、バイタリティーあふれる行動を持続していけるのです。

脳の仕組みを中心に、学習のモチベーションを上げる方法を解説していきます。

勉強のやる気がでない原因は前頭葉にある

やる気の源は前頭葉にあります。これは大脳を4つの部位に分割した場合の、一部分。脳の前方から中央付近にまで分布しており、脳全体の3分の1を占めるといわれています。

人は、前頭葉において、いろいろな物事を計画し、実行に移すといわれています。つまり、会社でいえば社長です。社長脳ですね。厳密に言えば前頭葉のうち、前方にある「前頭前野」で命令を下します。ここにいろいろな情報を集め、統合し、判断をくだしたり、思考したりしています。そして前頭葉の後部にある「運動野」に指令を送って、実際の行動が出てくるわけです。前頭葉前部は社長脳、後部は社員といったところでしょうか。

脳科学的には、大脳辺縁系にあって感情を司る扁桃体や、前部帯状回なども、学習のモチベーションにかかわっています。

うつ病の人や気分がすぐれない人は、前頭葉(=顕在意識)の働きが弱っているか鈍っています。パソコンでいえば、CPUやメモリの性能が低い状態にあります。そうなると「勉強をやりたくないなぁ」という扁桃体(=潜在意識)からの声に従ってしまい、勉強できなくなるのです。

もし前頭葉の働きが活発であれば、そのような扁桃体からの弱い自分の声に負けずに、自分が立てた目標に向かって行動を起こせます。ここに学習のモチベーションを上げる秘訣があります。

うつ病や気分障害の人の治療法として、前頭葉に磁気刺激を与えて活性化させるTMSという方法があります。それによって前頭葉が、感情を司る扁桃体を抑制できるようにするわけです。それには電気刺激を与えたり、抗うつ薬などによってセロトニンを増やしたりといったことが行われますが、そのようなことをしなくても個人で、前頭葉を活性化させることは可能です。

学習意欲は声に出すことで生まれる

学習のモチベーションを保つ方法としては、大きくわけて3種類あります。
1番目の音読は、英語学習や英会話、そのほかの語学学習では普通に行われていることです。

  1. 音読する (前頭葉を強化する)
  2. 勉強のなかに面白みを見つける (内発的動機)
  3. 自分にご褒美を設定する (外発的動機)

勉強のやる気を引き出し、前頭葉を強化する、もっとも簡単で効果的な方法は音読です。
何も見ないで発声したり暗唱するのではなく、何かの文章を読みながら声に出すのです。読む教材は何でもOKです。極端にいえば雑誌でもいいですし、興味のある本でもいいです。

それを声を出しながら読むことによって、脳に視覚情報と聴覚情報が同時に送り込まれます。これが最高の脳活(脳トレ)になります。また喉や口、アゴなどの筋肉からの情報も脳に伝わります。音読することによって、簡単に前頭葉の血流がよくなり、何事にも意欲的に取り組めるようになります。

大学センター試験や公務員試験を目指している人だけではなく、仕事や掃除、介護、スポーツなどのモチベーションを上げたい人にも役立ちます。認知症(ボケ)の予防・改善効果もあるといわれています。

音読はふつうの速度で読むよりも、できるだけ速く読むほうが脳の活性化には効果的です。
最大速度で読んでみましょう。読みつづける時間は、疲れない程度がいいです。音読で疲れてしまって、そのあとに受験勉強などの目的の行動がとれなければ、本末転倒ですし、意味がありません。最初は10分くらいから始めて、長くても20分までがいいのではないでしょうか。

中学英語やTOEIC、TOEFLなどの教材をつかって音読すれば、英語(英会話)も学べるし、脳も活性化できて一石二鳥ですね。

自分に褒美を上げる

音読以外に学習のモチベーションを高め、維持するためには、自分で自分に褒美を設定することも有効です。たとえば・・・

  • この参考書をマスターしたら、あそこに遊びに行こう!
  • 試験に合格したら、ほしかった○○を買おう!

などです。ただ、これでは達成するまでに時間がかかるので、もっと短期間のスパンで目標設定してもいいかもしれません。たとえば・・・

  • 午前中、勉強を頑張ったら、おいしい店に食べに行こう!
  • 夜の9時まで頑張ったら、好きな映画をDVDで見よう!

などです。勉強自体にやる気が見いだせなくても、それ以外のことで楽しみを設定する手法を「外発的動機」といいます。身近な目標を立てれば、毎日、達成感を味わえるので、それをまた味わいたくなり、勉強のモチベーションが上がります。ドーパミンが脳内に分泌されると、また分泌したくなって、同じ行動をとりたくなるのです。これを悪用すれば覚せい剤の常習ということになりますが、うまく活用することでやる気のアップにつながります。

そのほか、意欲をわかせてくれるような配色の参考書を選んだり、ノートをきれいに取ったり、勉強の内容に自分から興味を持っていくことでも、モチベーションを高めることができます。

作業興奮の原理でやる気を引き出す

そのほか、モチベーションには大脳辺縁系にある側坐核もかかわっており、ここが活性化するとやる気が出てきます。側坐核を刺激するには、実際に行動を起こして、しばらく続けることです。行動しているうちに、だんだんやる気が出てくることがよくありますが、それには側坐核という部位が関係しているわけですね。

このように、やる気が出てから行動するのではなく、行動することでやる気が引き出されるという効果を「作業興奮」といいます。ただ、この場合も、行動→側坐核の活性化→ドーパミンの分泌→アセチルコリンの増加→海馬からシータ波が発生→前頭葉の活性化となり、最終的には前頭葉からやる気が生み出されます。

前頭葉の働きが弱いと、行動を起こしたからといっても、かならずしも前頭葉の活性化にはつながらないかもしれません。ですから前述したように、音読によって、まずは前頭葉を強く鍛えるべきだと思います。そのうえで「作業興奮」の原理を活用して、「とりあえず行動を起こして」みたときに、ストレスなく学習のモチベーションを維持できるのではないでしょうか。