暗記 勉強

暗記と勉強の秘訣

暗記と勉強は切っても切り離せない、密接な関係にあります。
暗記は記憶と言い換えることもできます。人は、何かを考えるときでも、脳内に記憶したことを素材として考えをめぐらします。それら記憶した材料をつかって、いろいろ組み合わせてアイデアを紡ぎだしたり、そこからヒントを得て、新たなものを生み出したりします。それほど記憶は重要です。

学習方法においては、暗記するためには反復することが王道といわれています。
勉強内容は、たいていは無味乾燥で印象が薄いことが多いので、何度もしつこいくらいに海馬に働きかけてこそ、ようやく側頭葉や頭頂葉などの長期保管庫へと格納できるわけです。学問に王道なしといわれる理由が、ここにあります。

当サイトの記憶にかんする他のページでは、復習やイメージ、連想の重要性を解説しているので、ここでは別の観点から解説します。覚えやすく、長く忘れない、しかもいつでも思い出せる記憶術です。暗記と勉強の極意といってもいいかもしれません。


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自分の経験にしてしまう

暗記と勉強の秘訣のひとつめは、つまらない勉強内容を自分の経験に結び付けてしまう方法です。
「え?そんなことできるの?」と思われましたか?もちろん可能です。

とはいっても地理の勉強をしている人が、それを覚えるために、実際にその地に出向いて、実際に体験してくるといった時間のかかる方法ではありません。そのような方法も、もちろん有効です。小学校では、社会科見学などとして取り入れられています。勉強内容を、そのまま自分で体験できるなら、それが長期記憶を後押ししてくれます。

しかし、そのような回りくどい方法を取らなくても、簡単に知識記憶を経験記憶にするやり方があります。それは勉強内容を、人に説明してみるという方法。

説明する相手は、できるだけそのことを知らない初心者がいいかもしれません。そうすると、なんとか理解させようと噛み砕いて話そうとします。もちろん、そのことも暗記勉強に一役買うわけですが、それだけではありません。人に説明したということが経験となるのです。

つまり、「あのとき、友達にカフェで説明したところだな」といった覚え方ができるのです。
「あのとき、友達は、○○って何?と質問していたな。それに対して、自分はこのように説明したっけ。」といったことが自分の経験として焼付きます。

数学や英語、社会科でもそうですし、理科や国語でもそうですが、知識だけを暗記しようとしても、なかなか長期記憶として定着してくれません。それは、ひとつには対象のものに興味を持てないからであり、反復回数が少ないからでもあり、無味乾燥な知識記憶だからでもあります。

しかし自分の経験と関連させて覚えれば、喫茶店で友達に説明している光景を想像(イメージ)するだけで、その場面とともに、話した内容までもが、ありありとよみがえってくるようになるのです。

意味記憶よりもエピソード記憶のほうが強力

先ほど知識記憶という言葉が出てきました。これは、またの名を意味記憶ともいいます。また経験記憶という言葉もありました。これは、別名をエピソード記憶ともいいます。

知識記憶として暗記するさいは、たいてい、脳内でのシナプスのつながりが希薄という難点があります。英語と意味のように、2つだけの関係の場合はとくにそうです。覚えにくく、思い出しにくいのです。そこで手を使って紙に何度もスペルを書いたり、反復したりして頭に焼き付けようとするわけです。しかし、それでも中間・期末試験のときに出てこなかったり、時間がたつと忘れてしまいます。

これに対する対策としては、できるだけイメージ化してみたり、ほかのことと関連付けて覚えることが大事です。それによって、脳内で多くのシナプスとつながるため、忘れにくく、思い出しやすくなります。電気信号がいろいろな経路を通れるので、思い出せる確率がアップします。

じつは経験記憶も、イメージ化や連想などと同じ仕組みです。
何かを経験するときは、その光景や音、体性感覚などが一緒に思い起こされます。カフェの様子、コーヒーの味、友人の様子、友人の声、天気、暑さなどなど。つまりイメージや想像を活用した記憶術といっしょです。このように、つながりが豊富なことを連合、それをさらに発展させたものを精緻化といいます。シナプスが網の目のように張り巡らされているということですね。

知識を精緻化させるには、右脳を使ったイメージ記憶術や連想が有効ですが、人に説明するなどの経験と結びつけても、同様のことができるわけです。

意味記憶は潜在記憶といわれ、きっかけが与えられないと脳内から出てきません。問題用紙に「○○とは何か?」と書かれていてこそ思い出すわけです。いっぽう経験記憶は顕在記憶といわれ、きっかけがなくても「ふと」思い出すことに特徴があります。歩いている時に、「水はH2Oだ」といきなり思い出すことはありません。しかし、「ディズニーランドは楽しかったなぁ」と突然思い出すことはよくあります。

しかも経験したことは、そう簡単に忘れません。しかも覚えやすく、思い出しやすい。
このように単なる知識を、自分自身の経験と関連付けることが、暗記と勉強法の極意のひとつです。

暗記用のペンを決めよう

暗記と勉強の極意として、経験が重要だと解説してきました。
そのほか、もう一つ、とっておきの秘訣があります。それは文脈依存記憶を活用する方法です。

これは覚え方というよりも、「上手な記憶の引き出し方」といったほうがいいかもしれません。
でも自由に引き出せるかどうかは、学習方法にとって欠かせません。記憶というものは、それを脳内から引き出してアウトプットしてこそ意味があります。一度は覚えたつもりでも、それを思い出せなければ全く意味をなさなくなります。

文脈依存記憶とは、自分が今、置かれている状況に即した記憶を優先的に思い起こすという現象です。たとえば分かりやすい例でいうと、トイレに入っているときに何か素晴らしいアイデアがひらめいたとします。でもトイレを出て別の部屋に行くと、そのことをすっかり忘れてしまい、何度考えても思い出せなかったりします。

しかし、また時間をおいてトイレに入ったときに、簡単に素晴らしいアイデアを思い起こしたりします。このように自分の置かれた状況や場所によって、引き出される記憶が影響をうけるのです。先ほどトイレから別の部屋に移動したときは、その部屋の「文脈依存記憶」が働いたために、トイレでのアイデアが引っ込んでしまったわけですね。

この現象を応用した、暗記と勉強の極意があります。記憶の上手な引き出し方になります。
それは、なにか覚えたいことがあったとき、暗記用の赤ボールペンや蛍光ペンを手に持ち、テキストや教科書に実際に線を引きます。これが記憶を思い出すトリガー(引き金)となります。

そしてテストや模擬試験などでは、机の上にその暗記用のペンを置きます。
そのペンを手に取るだけで、暗記したときの状況を再現でき、文脈依存記憶が働いて記憶がスムーズに引き出されてくるというわけです。

そのほか暗記するときだけ鉢巻きをして、試験のときに「その状況を思い出す」だけでも、同様の効果があるかもしれません。実際にペンを持たなくても、そのときの状況を思い出すだけでいいわけです。この場合、「あのとき鉢巻きをして頑張った内容だ」といった、先ほど解説した経験記憶にもできるわけです。

そう考えると、何かを覚えるときには、普段と違った場所に行ったり、奇抜な格好をして記憶するというのが、暗記と勉強の極意といえそうですね。



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